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肩の痛み

この記事でわかること

  • 肩の痛みが出る代表的な原因(筋肉・骨・関節など)
  • 右肩だけ痛い/左肩だけ痛いときに考えられること
  • 「肩こり」と「肩の痛み」の違い
  • 肩の痛みに隠れている可能性のある病気(五十肩・腱板損傷・リウマチ・内臓疾患など)
  • 肩の痛みを和らげるセルフケア・湿布の使い分け(温める/冷やす)
  • 整形外科を受診すべき症状の目安

肩が痛いのはなぜ?原因と背景

肩が痛いのは病気?原因や対処法の解説|和歌山市の整形外科「ほんだ整形外科」肩の痛み(肩痛)は「肩こり」と混同されがちですが、実際には筋肉・骨・関節・腱など複数の組織が複雑に関与する症状の総称です。

肩は「腕を大きく動かせる可動域の広さ」を持つ一方で非常に不安定な構造をしているため、わずかな筋肉の不調や関節のトラブルでも痛みが出やすい部位です。背景には次のような要因が影響します。

  • 年齢:加齢により腱や軟骨がすり減り、炎症や損傷が起こりやすくなる
  • 姿勢:猫背・巻き肩・デスクワークによる不良姿勢で筋肉が緊張する
  • スポーツや仕事の負担:投球動作や荷物の持ち運びで腱や靭帯にストレスがかかる
  • 生活習慣:運動不足や筋力低下、冷えなどが慢性的な肩痛を助長する

つまり「肩の痛み=年齢のせい」ではなく、生活習慣・筋肉の状態・関節や骨の変化が複雑に絡み合って生じるもの。なかには内臓疾患(心臓・肝臓・胆嚢など)のサインとして肩に痛みが現れるケースもあり、命に関わる場合もあるため要注意です。

肩が痛いときの主な原因

肩が痛いのは筋肉が原因?

肩痛の多くは筋肉の緊張や炎症によるものです。
特に関与しやすいのは以下の筋肉です。

僧帽筋(そうぼうきん)

首から肩・背中に広がる大きな筋肉。猫背やデスクワークでこり固まりやすく、肩こりや重だるさの原因に。

棘上筋(きょくじょうきん)(腱板を構成する筋肉の一つ)

腕を横に上げる動作に関与する筋肉。炎症や損傷があると「肩を上げると痛い」症状が出やすい。

インナーマッスル(腱板・ローテーターカフ)

肩の安定性を保つ4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・肩甲下筋・小円筋)群が腱板です。スポーツや加齢で損傷すると、夜間痛や動かせないほどの強い痛みが出ることも。
「肩こり」と軽く考えてしまいがちですが、実際は筋肉や腱の障害が背景にある肩痛も多いため注意が必要です。

肩痛いのは骨や関節の異常?

筋肉だけでなく、骨や関節のトラブルが肩痛の大きな原因になることもあります。

変形性肩関節症

加齢や使いすぎで軟骨がすり減り、関節が変形。動かすときにギシギシした痛みが出る。
ひどくなるとゴリゴリ擦れる音がすることもあります。

肩関節周囲炎(五十肩)

40~60代に多く、肩の可動域が制限されるのが特徴。夜中にズキズキ痛む「夜間痛」も代表的な症状。

石灰沈着性腱炎

腱にカルシウムが沈着し、急に強い痛みが出る。安静にしていても激痛が走るケースも。
「動かすと痛い」「夜に痛みで目が覚める」といった症状がある場合は、関節や骨に原因がある肩痛の可能性が高くなります。

右肩だけ痛いときに考えられる原因

「右肩だけが痛い」というケースも少なくありません。利き腕の負担やスポーツ動作だけでなく、内臓疾患のサインである可能性もあります。

利き腕の使いすぎ

荷物を持つ・マウス操作・投球動作など、右肩ばかりに負担が集中する

スポーツ障害

野球肩や腱板損傷など、繰り返し動作で右肩に炎症が起こる

内臓疾患の関連痛

  • 心疾患(狭心症・心筋梗塞):胸の痛みとともに右肩や左肩に放散痛が出る
  • 肝臓・胆嚢のトラブル:胆石や肝疾患で右肩に痛みが走ることがある

部位・状況別の肩の痛みの出方

部位・状況別の肩の痛みの出方片側だけの肩痛は「よくある使いすぎ」から「重大な病気のサイン」まで幅広いため、強い痛み・長引く痛み・他の症状を伴う痛みは早めに医療機関でのチェックが必要です。
肩の痛みは「どこが痛むか」「どんなときに痛むか」で原因がある程度推測できます。筋肉・骨・腱・神経が関与するため症状の出方も多様です。ここでは代表的な部位別・シーン別の肩痛の特徴を整理します。

肩の前側が痛いときに考えられる原因

肩の前面は腱板や関節包が集まる場所で、炎症や損傷が起こりやすい部位です。

肩関節周囲炎(五十肩)

肩の動きが硬くなり、腕を前に上げる・服を着るときに痛みが出やすい。夜間痛も特徴。

上腕二頭筋長頭腱炎

腕を曲げる・持ち上げる動作で前側にズキッと痛み。スポーツや繰り返し動作で炎症が起こる。

石灰沈着性腱炎

急に肩の前方に強い痛みが走る。安静にしていても激痛を伴い、夜眠れないこともある。

肩の後ろ側が痛いときに考えられる原因

肩後面の痛みは、姿勢やインナーマッスルの不調が背景にあることが多いです。

僧帽筋のこり・緊張

猫背や長時間のデスクワークで肩甲骨周囲に張りや痛み。重だるさが続くのが特徴。

棘下筋・小円筋の炎症

肩の外旋(腕を外にひねる動作)で痛み。投球動作などで損傷しやすい。

肩甲骨周囲炎

肩甲骨の動きが制限され、肩の後ろがつっぱるように痛む。

右肩だけ痛い・左肩だけ痛いときの注意点

片側だけの肩痛には「利き腕の使いすぎ」「姿勢の影響」など軽度な原因もありますが、心臓や肝臓など内臓疾患の関連痛が隠れているケースは命に関わる重大サインです。

  • 右肩 → 肝臓・胆嚢の病気(胆石・肝炎など)
  • 左肩 → 狭心症・心筋梗塞など心臓疾患

胸の圧迫感・吐き気・黄疸・冷や汗など全身症状を伴う場合は、救急受診も含めてただちに医療機関を受診してください。

腕を上げると肩が痛いとき

「肩を挙げられない」「途中で痛みが出る」などは、腱板や関節の異常を疑います。

腱板損傷(インナーマッスルの断裂)

腕を横や前に挙げると痛み。重症化すると肩が上がらなくなる。

肩インピンジメント症候群

腕を上げる途中で肩の骨と腱がぶつかり、ズキッと痛む。スポーツや反復動作で多い。

安静時や夜に肩が痛いとき

動かしていないのに肩がズキズキ痛むのは、炎症や関節の病気のサイン。

  • 五十肩 → 夜間痛で眠れないことが多い
  • 石灰沈着性腱炎 → 突発的な激痛で寝返りも困難
  • リウマチ性関節炎 → 朝のこわばりや全身の関節痛を伴う

💡肩の痛みは「前・後ろ・右・左」「動かしたとき・安静時」など症状の出方で原因をある程度推測できます。
ただし自己判断で放置すると、腱板断裂や関節変形の進行につながることもあるため、長引く痛みや強い痛みは早めに整形外科での診断を受けましょう。

肩の痛みに隠れている可能性のある病気

肩の痛みに隠れている可能性のある病気これまで見てきたように、肩の痛みは筋肉のこりや姿勢だけでなく、整形外科で診断される病気が隠れている場合もあります。放置すると関節の動きが制限されたり、手術が必要になるケースもあるため注意が必要です。代表的な疾患と特徴を整理します。

肩関節周囲炎(五十肩)

40~60代に多く、肩が上がらない・後ろに手が回らない。夜間痛で眠れないことも。

腱板損傷

肩を動かすインナーマッスルが断裂。腕を挙げると痛みが強く、進行すると肩が上がらなくなる。

石灰沈着性腱炎

腱に石灰(カルシウム)が沈着し、突然の激痛。夜間や安静時にも強い痛みで動かせなくなる。

変形性肩関節症

加齢や外傷で関節軟骨がすり減り、肩関節が変形。動かすとゴリゴリ音や慢性的な痛みが出る。

インピンジメント症候群

腕を上げたときに腱が骨に挟まり「ズキッ」と痛む。スポーツや重労働での反復動作で悪化。

リウマチ性関節炎

自己免疫異常による炎症。両側の肩に痛み、朝のこわばりや他の関節痛を伴うのが典型的。

内臓疾患による関連痛

  • 右肩 → 肝臓・胆嚢の病気
  • 左肩 → 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)

肩以外の症状(胸の圧迫感・吐き気・黄疸など)がある場合は要注意。

💡肩の痛みの背景には、このように整形外科的な病気だけでなく、内臓疾患のサインが隠れていることもあります。「いつもの肩こりだろう」と放置せず、長引く痛み・夜間痛・安静時痛・腫れや熱感を伴う場合は、早めに受診することが大切です。

肩が痛いときにやってはいけないこと

肩が痛いときにやってはいけないこと肩が痛むときは「とにかく動かしたほうがいい」「湿布やサポーターで様子を見る」と自己判断してしまいがちですが、間違った対処は症状を悪化させる原因になります。以下の行動は避けましょう。

無理して運動や重労働を続ける

「少し痛いけど大丈夫」とトレーニングやスポーツ、重い荷物の持ち運びを続けると、腱や靭帯の損傷が進行することがあります。

自己流で強いストレッチやマッサージをする

痛む部位を無理に伸ばしたり押したりすると、炎症が悪化することもあります。ストレッチは痛みが落ち着いてから、専門家の指導のもとで行うのが安全です。

湿布やサポーターだけで放置する

一時的に症状が和らいでも、根本原因は改善しません。長引く痛みを「そのうち治る」と放置するのは危険です。

同じ姿勢を長時間続ける

デスクワークやスマホ操作で猫背のまま固まると、筋肉や関節に余計な負担がかかります。こまめな休憩と姿勢改善が必要です。

肩の痛みを和らげるセルフケアと病院へ行くべき目安

「やってはいけないこと」を避ける一方で、正しいセルフケアを取り入れると、肩への負担を減らし、痛みの改善や再発予防につながります。ただし、自己判断で放置せず、受診の目安を押さえておくことが大切です。

自宅でできるセルフケア

温熱療法

慢性的なこりや血行不良には温めるのが有効。蒸しタオルや入浴で筋肉をほぐしましょう。

軽いストレッチ・運動

肩甲骨を回す、姿勢を正すなど軽い動作で可動域を維持。痛みが強いときは無理をしない。

筋力強化

回復期にはインナーマッスルや僧帽筋を鍛えることで再発予防に。セラバンドなどを使った軽負荷運動が有効です。

生活習慣の見直し

猫背の改善、適正体重の維持、デスク環境の調整などが肩への負担を減らします。

受診すべきサイン

次のような症状がある場合は整形外科の受診を検討してください。

  • 夜間痛や安静時にも強い痛みがある
  • 腕が挙がらない・後ろに回らない
  • 突然の激痛、肩が腫れて熱を持つ
  • 数週間たっても痛みが改善しない
  • しびれや脱力を伴う
  • 胸の圧迫感・息切れ・発熱など、全身症状を伴う